
川口市出身の浪曲師、京山幸乃さんが4月26日、JR蕨駅東口のレンタルスペース「Rhythm Neko(リズムねこ)」(川口市芝新町)で、初の埼玉公演ともなる里帰り公演を行った。
会場は普段、ライブの練習などに使われることが多いレンタルスペースで、楽器が後ろに並ぶ中での伝統芸能の披露となった。
当日、会場の受付には幸乃さんの家族や親族が立ち、音響などは兄が務め、客席には知人も多く詰めかけるアットホームな会で、都内などから駆け付けた浪曲ファンと合わせて50人以上が来場した。
披露したのは3席。1席目は幸乃さんの創作浪曲「たんか指南」。創作は始めたばかりで作品数も少ないというが、会場には笑いと掛け声、拍手が響いた。2席目は昨年12月、浪曲界で初めての人間国宝となった師匠の京山幸枝若さんが特別ゲストとして登場し、掛け合い浪曲「清水の小政」を披露。休憩を挟んで3席目は「幸助餅」。曲師・虹友美さんの三味線に合わせて上演し、いずれも30分前後の演目だった。初めて浪曲を見たという来場者は「あっという間の2時間だった」と話していた。
それまでも両親の影響で落語や講談などには親しんでいたが、8年前、一心寺寄席で幸枝若さんの舞台を見た幸乃さんは「『これだ』と思った」と振り返る。勤めていた会社を辞め、単身、大阪へ乗り込み、弟子入りを志願した。
落語、講談と併せて「日本の三大話芸」と言われる浪曲だが、「まだまだ知名度が低く、少しでも多くの皆さんにその魅力を知ってもらいたいと思って活動している」と幸乃さん。「川口でもまたやってほしいとの声を多くもらった」という。
当日の公演の模様は寄席チャンネルでも放送予定。