鳩ヶ谷の「川口市立文化財センター分館 郷土資料館」(川口市鳩ヶ谷本町2)で現在、民衆思想家「小谷三志」の生涯を紹介する企画展が開催されている。
同展は昨年冬に企画した「伊奈忠治」に続き、川口市にゆかりのある郷土の偉人企画展の2回目。
江戸時代に日光御成道の宿場、鳩ヶ谷で生まれた小谷三志は、民衆に育まれた富士山信仰の世界観を元に、道徳の基本が「孝」であることを「富士講」にもじって「不二孝」として分かりやすく「人助け」「社会貢献」の大切さを説き、後に「不二道」に発展する。その教えは多くの人々を引きつけ、江戸から京都・大阪、長崎まで精力的に布教し、門下生は1万人を超えたという。
同館では、当時の富士信仰の系譜が分かる資料、小谷三志にゆかりのある史跡や書物などの資料を多数展示しているほか、関連イベントとして歴史講座も開く。
展示を担当した学芸員の出野雄也さんは「小谷三志の不二道は、男女平等を尊ぶなど当時としては革新的な思想。今でも資料が多数文化財として残されている。200年ほど前の川口にこれだけ日本全国で慕われていた人がいたことを知っていただければ」と話す。
開館時間は9時30分~16時30分。月曜休館(月曜が祝日の場合は翌平日)。入館料は、大人=100円、小中学生=50円。3月21日まで。歴史講座は2月23日、3月21日に開講。