川口の古民家カフェとギャラリーを中心に店が集まる「senkiya shinmachi(センキヤシンマチ)」(川口市石神)で4月8日、「シンマチ祭(まつり)」が開かれる。
同イベントは、センキヤシンマチで店を構える人たちの通常営業時とは別の表情が見える機会を作りたいという趣旨で昨年初めて開催し、今回で2回目。敷地内店舗のほか近隣の所縁(ゆかり)のある店や作家など20店・組以上が出店。フード・ドリンクの提供、雑貨販売、ワークショップを行うほか、子どもの遊び場や音楽隊も登場する。
センキヤシンマチは、日光御成道沿いで江戸時代より植木商を営んできた「千木屋」の長男、高橋秀之さんが、1970(昭和45)年代に建てられた実家をリノベーションし2009(平成21)年に開いたカフェ「senkiya」を中心に、少しずつ敷地内に店が増え、建物の一部を間借りする店も含めると10店舗が集まる施設。
高橋さんは子どもの頃、近所にカフェやアートが楽しめる文化的な施設がなく、周辺地域を貫通して開発された首都高速道路、外環自動車道の工事で周辺環境が変わり区画整理予定地・調整区域等に指定され、長期にわたり近隣の土地利用が制限される中、自分の生まれ育った町に文化を育める楽しい場所を作りたいという思いから両親を説得し、実家の敷地を利用して開業することを決めた。
きっかけは20代の頃、知人に教えられて黒磯の「CAFE SHOZO(カフェ・ショウゾウ)」を訪れ、地方都市の駅から離れた場所に面白い店が集まっていることに衝撃を受け、同店で修業。その後、川口に戻り、妻の雅子さんと共に雑貨店からスタート。敷地内で倉庫として使われていた建物をギャラリーに改装し、展覧会や音楽ライブ、マルシェなどのイベントを開き、店舗物件を探していたカフェの客だった作家らに敷地内の小屋や離れを貸すなどし、試行錯誤しながらさまざまなイベントを開いてきた。
東日本大震災の後には近所の客たちが集まり安否確認し合うのを見て、人が集まれる場所の重要性を再認識したが、コロナ禍では一時カフェを閉めることも考えたという。そうした状況下、客たちが自発的に応援、インスタグラムを利用して架空の雑誌「月刊センキヤ」を創刊し、表紙を公募。選抜された100タイトルが集まったところで本物の雑誌が印刷され高橋さんに進呈された。
高橋さんは「自分が楽しいと思うことをやってきただけ。実家の周辺は、高齢者施設や高齢者世帯が多く、最寄りの小学校の児童数も年々減少している。大人たちが楽しそうに働いているのを見れば、子どもたちも将来、地域で働きたいという選択肢も出てくるのでは」と期待を込める。
開催時間は11時~16時。